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HOI 2nd Exhibition 『TEARDROP』by luka


 HOI 2nd Exhibitionとして、モデルとしてだけでなく、フォトグラファーとしても活躍の幅を広げる琉花さん札幌初の個展『TEARDROP』を4月28日から5月28日に渡って開催する。筆者は過去、彼女の撮る写真や展示を数多く見てきたが、今回の展示のタイトルやテーマ、作品一覧が届いた時に「いつもと少し違うな」と感じた。しかし、このインタビューを通じ、彼女がなぜこのタイミングでこの題材を選んだのかに触れ、ひとつひとつの作品が想いと重なり、TEARDROPのように自然と溢れてこぼれ落ちた1枚1枚だと理解した時、作品に対する深みがいっきに変わったのだ。彼女が経験したこと、想い、願い、そしてそれらを作品に乗せて発信すること。この展示には今の琉花の表現が、ありのままに詰まっているように感じられる。


―フィルム写真との出会い、きっかけは?

 父がフォトグラファーということもあり、幼い頃からいつも身近にカメラ、写真というものが自然とありました。父の暗室仕事を手伝ったり、プリント作業を眺めるのは楽しかったのですが、幼い頃はオモチャ感覚でカメラに触れることはありましたが、自分が写真を撮るということに興味はあまり無かったように思います。フィルムという事の認識すらも理解できていませんでしたし。


―写真を撮るようになるようになったのはいつから?

 高校1年生の時、初めて1人で海外を旅する機会がありました。パリとウィーンに滞在をしました。その際に思い出を特別なカタチで記録に残したいなと、父親からカメラを借りたことがきっかけです。今では考えられないですが、36枚撮りのフィルムを30本近くも携え、よく理解しきれていないまま、シャッターを切り続けました。贅沢ですよね。カメラもライカのM6という、それなりに技術が必要なカメラを借りたので、今思えば、デジタルカメラも普及していた時代によくこんなカメラを旅のお供にしようと思ったなと……(笑)。


―帰国して現像し、思い通りに撮れていた?

 上手いか下手かではないのですが、想像していたよりもたくさんの光景を収めることができていました。デジタルとは違い、その場ではどう撮れているかが確認できないし、そもそも露出やピントが間違っていて写っていないかもしれない。そんなドキドキの中で現像に出し、データが届いて確認したら、予想以上の光景が広がっていて。今ではデジタルでフィルムっぽい加工なども簡単にできますが、デジタルでは出せない色味や、質感、空気感、フィルムならではの質感に感動したことを今でも覚えています。


―そこから写真にのめり込んで行った?

 のめり込む、とまでの感覚ではありませんが、旅する時は必ずフィルムカメラを携るようになりました。また、SNSなどで少しずつ当時の写真を投稿し、良き反応も多くいただけた経緯もあり、2017年にはその初旅の写真を1冊のzine「VOYAGE」にまとめ、初の個展も開催することができました。作品として人に見せる、印刷して製本する、額装して販売する、全てが初めての事でしたし、苦労の連続でした。プロの父親が身近にいるのに、特に写真の話をする事は今までなかったのですが、そこで初めてプリントの仕方や、どう展示したらいいか、相談に乗ってもらいました。大変でしたが、たくさんの人に自分の写真を見てもらうことができ、楽しかったですし、写真と深く向き合う良いきっかけになったなと、今思えば感じています。


―モデルとしても活躍し続け、フォトグラファーとしても仕事を始めるようになりましたよね。

 はい、SNSなどを通じて作品を観てくださった方などから、少しずつお仕事もいただけるようになりました。ただ、私の写真はほとんどが旅の記録、自分が見た景色、海外の空気感、そういった作品がほとんどで。あるとき「新しく同じ事務所(エトレンヌ)に所属する中島セナの写真を撮ってみない?」と事務所に方にお声がけいただいて。友達のスナップを撮ることはあっても、人物をヒトとして撮影する経験はほとんど無かったのですが、その写真を公式のプロフィール写真としてアップしたら、たくさんの方から評価をいただけて。とある雑誌の編集長からも、被写体としてのオファーではなく「写真を撮ってほしい」というオーダーが来たりして、少しずつではありますが、人物写真のお仕事もさせていただくことに繋がっていきました。

―写真を撮る上で、大切にしている事はある?

 海外を自由気ままに旅することが好きで、狙って撮影するというより、いいなと思った時にシャッターを切ることが多いのですが、物をモノとして捉えすぎない、人をヒトとして捉えすぎない、背景や空気感や光の入り方やまわり方も含め、感じたままにその瞬間を1枚の画として撮影をする事は、今も昔も変わらず大切にしている事です。


―今回は『TEARDROP』と展示名を決めましたね。作品も含め、過去の展示とは少しテイストが違うと思ったのですが、どんな思いから展示内容を決めたのですか?

 2020年からのパンデミックで、仕方ないことですが行きたいところにも行けない、撮りたい写真も撮れない日々が続いていました。旅をしながらフィルムに収めることがライフスタイルの一部でもあったので、少しだけ写真を撮るという行為が遠ざかっていたようにも思います。ただ、この機会に映像用のカメラを買ってテストしてみたり、新しい印刷の仕方を色々試してみたり、また自由に撮りたい場所に行ける日を待ちながら準備をしてはいました。ですが、昨年の1月、本当に突然、父親が亡くなってしまって……。突然のことすぎて、今でもまだ実感が無いのですが。先ほどお話ししたように、今、写真が自身のアイデンティティの一部になりつつあるのは父の存在がきっかけですし、日常的に写真の話をしていた訳ではありませんが、プロとして活躍する父の影響は少なからず受けていたと感じています。コロナ禍による行動制限も解除されたこともあり、昨年末から今年の頭にかけて長期休みをいただき、久々にまた1人で旅に出ました。大好きな街、ロンドン、パリ、モロッコと、昔の記憶を辿りながら、今の想いを重ねて時間を過ごしました。過去撮影した同じ場所に行き撮影したり、思い出の場所でシャッターを切ったり。今回の展示では、その旅で新たに収めた写真や、父との思い出の場所、過去の旅での楽しい記憶など、2018年〜2023年、様々な土地で撮影した写真を作品として展示しています。花火の鮮やかな光が涙がこぼれるように流れていたり、撮ったことも覚えていなかったオーストラリアの父の姉の室内写真、コロナ禍前の最後に旅した際の楽しかった思い出など、5年間の世の中の変化、自分自身の気持ちの変化などが表現された写真を選択しました。

2017年に初めて作成したzine『VOYAGE』も今回の展示用に新たに製本してご用意しています。展示作品を含め、是非直接足を運んで、目にしていただけると嬉しく思います。


ARTIST PROFILE

琉花/luka

1998年 東京都生まれ。

モード誌、ビューティー誌、ライフスタイル誌をはじめ、CM、広告、MVなどで活躍の幅を拡げ、クリエイターからの絶大な支持を得ているモデル。父の職業が、旅の写真家ということもあり、写真と旅についての身近さは特に強く、幼少時より、バックパッカースタイルで30カ国以上を旅している。


HOI 2nd Exhibition

『TEARDROP』by luka

Instagram → @tokyodays_luka


会期:4月28日(金) 〜 5月28日(日)

※琉花さんご本人が5月12日、13日の2日間、HOIに在廊します。

会場:HOI / 1F Gallery Space

場所:北海道札幌市中央区南2条西27丁目2-20

アクセス:【円山公園駅】改札出口1~4・6方面へ。6番出口「maruyama class」から、地上階へ向かい、STARBUCKS COFFEE側出口を出て、右手に直進。教会が見えたら一つ目の信号を左折。六花亭側へ渡り、左手に見えるガソリンスタンドを目印に更に直進。道なりに進むと見えてくる、白い2階建ての建物がHOIです。

時間:AM11:00〜18:00 /最終入場 17:30

定休日:毎週月曜、木曜

入場料:無料(ご予約は不要です)


Edit & Text SATORU SUZUKI

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